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構音指導の方向−2−

<指導の方向(B)=指導を拡げていく方向>

  構音出来るようになった音を生かして、同じ子音部を持つ後続母音が異なる他の音節へと指導を進めていきます。

   例 カ行音は、カ→コ→ク→ケ→キ
     サ行音は、ス→サ→ソ→セ
          タ行音は、タ→テ→ト

  子音を作るのに容易な後続母音の音節より指導を開始し、漸次接近法で後続母音を変えていきます。
     
      ただし各行とも、イを後続母音に持つ音節は、構音点が口蓋に寄っていて、同じ行の中の他の音節とは大きく異なっている点に注意が必要であり、同じ子音部をもつ音節の中では一番最後に指導します。
     特に、サ行音のシ、ナ行音のニ、ハ行音のヒやフは、別の音とも呼べるほど、構音点が大きく異なっています。
      また、タ行音のチやツは、摩擦成分が加わり、構音方法が異なっています。
      これらについては、後続母音を変えることによって作っていくというより、新たな子音部(音)を作っていくと考え、改めて別に指導を開始します。
    
      後続母音を変えて音節を作っていく指導方法の他に、産生出来るようになった音を生かして他の音を導く指導の例を紹介します。

   ・ 無声音から有声音を導く。
                    後続母音の口形を保ち、常に後続母音を出し続けるような意識を持たせながら無声音を連続させ、
          漸次接近法で次第に有声音に近づけていきます。
      ・ 有声音から無声音を導く。
                   次第に声量を絞って小さなささやくような声での産生を促し、子音部が得られたら後続母音をつけます。
      ・ 構音方法が等しく構音点が近い音から導く。
                   シはスィから次第に構音点を後ろに下げていきます。
                    ヒはフィから次第に構音点を後ろに下げていきます。
      ・ 破裂音に摩擦成分を加えて破擦音を作る。
                    初めに摩擦音sやʃを作って、同じ構音点で呼気を閉鎖、破裂させ、ʦʧを作ります。
      ・ 破擦音の破裂成分を消去し、摩擦音を作る。
                    ʦʧを引き伸ばし、同じ構えのまま摩擦部分だけを再生するよう促します。

 構音指導には波及効果があり、ある音が産生出来るようになると、そのことが他の音節や音の獲得を容易にするので、獲得のための指導に要する時間は、次第に短くなっていきます。