搬化・定着のための指導の方法
�単音の繰り返しの中で
単音で出すことが出来るようになったら、まずその単音の安定を目指します。
2音、3音、4音・・・と連続させて練習します。
また、連続した音を繰り返したり、リズムをつけたり、速度を上げたりします。
�意味のない2音節の組合せの中(前や後ろ)で
前や後ろに異なる音をつけ、2音を組み合わせて意味のない2音節を作り、
音節のまとまりの中の前の音や後ろの音として練習します。
つける音によって、幾通りもの組合せが成立します。
母音であれば、ターゲットの音の後続母音が同じか、異なるか
子音であれば、
構音点が同じか、近いか、遠いか
構音方法が同じか、摩擦に対する破擦のように一部が同じか、異なるか、
後続母音がターゲットの音と同じか、異なるか
これらの点から考えて、本人にとって構音が容易なものから難しいものへと組み合わせる音を変えていきます。
同じ子音部をもつ後続母音が異なる音との組み合わせについては、組み合わせる音が獲得されていることが条件となります。
誤って出されていた音との組み合わせての練習もします。
この練習でも、繰り返したり、速さを増したりして難易度を変化させます。
�意味のない3音節の組合せの中(前や後ろや真ん中)で
前後に異なる音をつけ、3音を組み合わせて意味のない3音節を作り、3音節のまとまりの中の前や後ろや真ん中の音として練習します。組み合わせる前後の音によって、幾通りもの組合せが成立します。
前後の音は、同じ場合と異なる場合とがあります。
�意味のあることば(単語)の中で
意味のあることばの中の最小の単位である単語の中で練習します。
ターゲットの音が前につく2音節単語で
ターゲットの音が後ろにつく2音節単語で
ターゲットの音が前につく3音節単語で
ターゲットの音が後ろにつく3音節単語で
ターゲットの音が真ん中につく音節単語で
というように次第に音節数の多い単語の中で練習するようにします。
繰り返しや、早口で練習します。
�句や短い文の中で
次第に発話の長さを増していきます。
意図的にターゲットの音や同じ子音部を持つ音が多く含まれるように作られた文などで練習します。
繰り返したり、早口で言ったりします。
�より長い文章の中で
�会話の中で
一問一答(Q&A)形式の会話や、テーマを定めての会話、自由な会話など、様々な会話形式の中で練習します。
�日常生活の中の日常会話の中で、観察を通して�以降の練習の中では、これまで使ってきた楽な話し方をした結果つい癖が出て誤ってしまっても、そのことに自ら気付き、自分から修正を試み、出来るだけ少ない回数の中で正しく言い直すことが出来るようになることが指導の内容になってきます。
○指導の中で用いる手立てについて
・書かれたものの音読の方が、復唱や暗唱よりも容易であるという場合が多いです。
・注意を惹きつけるための何らかのマーカーがあると、音読は更に容易になります。
・暗唱よりも、モデルがある復唱のほうが容易であるという場合が多いです。
・繰り返しの回数、発話速度などを増し、難易度を上げます。
・単音では獲得されているはずの音の指導ですが、その音の獲得のための指導の過程で用いた教材、教具などは手元に置き、いつでも用いることが出来るようにします。
○もし、誤りが生じたら・・・
段階的に指導を進める中で、音に誤りが生じ、それがなかなか改善されなかったら、壁に当たったな、ハードルが高かったかなと考えましょう。
一つ前の段階に戻り復習をします。その段階で音が安定し自信も持てたら、指導を先に進めます。