<はじめに>
構音の仕方の誤りや産生されている誤音を正しい方法による明瞭な構音に改善していくために、
正しい構音の仕方を指導するための方法を紹介します。
まず、本来産生するべき正しい音と自分が産生している誤った音との違いが理解でき、
正しい音や誤り音を、自分や指導者の発話の中から聞き取ったり、
正しい音に対する聞かせ与えられた音の正誤や、組み合わされた2つの音の異同を聞き分けたり
することができるようになるための指導(耳の訓練)をします。
カ行音を言おうと意図した途端に挙がってしまう舌を舌圧子などを用いて押さえ、
次第に抑える力を弱めながら抜き去っていく方法です。
嘔吐を誘発したり、押さえようとする力に対して強い抵抗を感じたりしたら
無理せず違う方法に切り替えます。
軽く舌を押さえることでカ行の音が産生できれば、
それを安定的に出すことが出来るよう繰り返し、次第に押さえる力を弱めていきます。
コツ:舌を押さえるとき、ただ上から押し付けるだけでなく、
いくらか口の奥の方へ押し込むようにすると奥舌が上がりやすくなります。
この方法では正しいカ行音を誘導することができなくても、
挙がってしまう舌さえ押さえればカ行音を産生することができることが多いため、
誤り音の自覚やその原因を理解させるにはよい方法です。
通常は前後の音や語内位置にかかわらず発話の中で一貫して誤りが見られていても、
ある特定の言葉を発するときにだけ、時として正しい音で発話することができる
ということがあったとき、その言葉を指導に用いる方法です。
まず、安定的に正しい構音で産生された音を用いて発話できるよう繰り返し発話させます。
少しずつ前に続く音を消去していきます。
取り出してそれ一つの音で産生できるよう指導します。
正しく産生できた音を仮名文字等とマッチングさせるなどして意識化させ、
出そうとして出すことができるよう指導します。
そしてその安定を図ります。