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構音指導の内容


<構音指導の内容>

 構音指導・構音訓練=音作り ではありません。

 教育の場では、「訓練」という用語を用いることを嫌い、「指導」という用語を用いようとする立場があります。
 指導の具体的な内容には、課題訓練的なものが含まれつつも、その全体を「訓練」とは呼ばず、あえて「指導」と呼ぼうとする立場には、医療の場で用いられることが多い「訓練」と区別して呼び分けようという考え方があるからです。
 教育の場では、子ども自らが課題を把握し、その課題解決に向けて様々な学習活動を展開し、課題解決を図っていく過程で様々なもの・ことを学びとっていくことを目指しますが、教師がイニシアティブをとって意図的かつ計画的に、学習の場を設け、教師がとらえた子どもの実態から導き出した教育課題の解決に向けて、子どもたちを教師の意図する方向へと導いていくときには「指導」、子どもたちの主体的な学びを大切にしそれを助けるときには「支援」というように「指導」や「支援」という用語を使い分けており、「構音指導」というときにも、前者の意味で「指導」という言葉が用いられています。

 1.まず、指導を成立させる条件として・・・

  子どもに、通級による個別の指導に対する協力的な態度をもってもらうことが必要です。
  これを求めることが出来るためには、教師と子どもとの間に信頼関係が成立していなければなりません。
  教師がとらえた教育課題である、指導の必要があると思われた音の誤りについて、教師が、「できれば、できるだけ治していくことがいいと思っていること」や「そのためのお手伝いをしたい、お役に立ちたいと思っていること」「ここはそのための教室であり、教師も時間も教室もそのために使うことが出来ること」などについて、率直な思いを伝えます。
  子どもに、音の誤りがあることを伝え、「もし何とか出来るものなら何とかしたい」という、子どもの自己治療意識(ニーズ)を確認します。
  子どもとのインフォームドコンセントで、指導を開始すること、開始の日時を決定し、通級のシステムを説明し、指導中の約束事などについて話し合います。
  また、プランがあれば、指導開始音や指導の進め方、指導方法、改善の見通しなどについて説明します。

 2.よい耳作りのための耳の訓練で語音弁別力を培う

  自分が誤って構音している音の、本来構音されるべき正しい音と、誤って構音している結果誤った音になってしまっている自分の構音との違いを聞き分けられることが出来なければ、その子にとって構音指導の意味は理解し難いものとなってしまうでしょう。
  まず、この語音弁別力が必要です。
  構音指導の過程では、その時々に、構音することを求められモデルとして示される(聞かせ与えられる)教師の音やそれを表記した文字などと、自分が発した音との違いを聞き分ける力が求められます。

 3.耳の訓練の前提として、傾聴態度や注意の集中とその持続の力を培う
 
  教師の構音や構音時の発語器官の動き、自分の構音や構音時の発語器官の動きに、意識を集中し、心を傾け、耳を澄ませ、目を凝らして注意深く見聞きすることが出来る力が必要です。
  そのためには、一所に身を落ち着かせて一時集中することが出来る力が必要です。

 4.語音弁別ができない=構音指導ができない ということはない

  例えば聴覚障害があるなどのために、語音弁別が確かに出来ない子どももいます。
  モデルとなる音が聞こえず、自分が発した音のフィードバックが出来なくても、音を作ることは可能であり、そのための指導をすることも出来ます。この場合は、聴こえを補うために、聴覚以外の感覚を使うことになります。例えば、視覚、筋運動感覚などです。

 5.発語器官の運動機能を高める

  音作りに先立って、または、並行して、発語器官の感覚や運動の機能を高めるための指導をします。
  その運動そのものが構音時の動きの全部または一部であるというわけではなく、それが出来るようになったからと言って構音が出来るようになるというわけではありませんが、構音の基になる動きの検査として、構音検査の一部に構音類似運動検査があります。この検査内容を参考にしたり、顔面筋の運動も交えたりしながら、発語器官の運動を繰り返し行います。
  CSSBなどは、日常生活の中で練習出来るものです。
 
 6.音作り
  いわゆる狭義の構音指導です。 いくつかの代表的な方法があります。
 
    聴覚刺激法 
    漸次接近法        
    他の音から誘導(移行)する方法    
    キーワード法 (キーとなる音を利用する方法)
    構音点(の位置づけ)法

 7.自己修正力を高める
 
    別章をご参照ください。