(1)概要
免許法認定通信教育とは、一定の教員免許状を所持する現職教員の方が、上位の免許状や他の種類の免許状を取得しようとする場合に、大学の教職課程によらずに必要な単位を修得するために通信教育の形態で開設されている講習です。
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所(以下、本研究所)の免許法認定通信教育は、特別支援教育に携わる教員を主として、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校又は特別支援学校の現職教員を対象に、特別支援学校の教員免許状を取得するために、又は、新たな特別支援教育領域を追加(以下、新領域追加)するために必要な単位修得の機会を提供し、併せてその資質の保持と向上を図るものです。
※「何の科目の単位」を「何単位修得」したらよいのかについては、受講を申し込む前に、必ず免許状授与又は新領域追加の申請を行う都道府県教育委員会の教員免許状を授与する関係課・係に確認しておいてください。
(2)開講の趣旨
平成27年12月、中央教育審議会の「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について(答申)」において、「平成32年度までの間に、おおむね全ての特別支援学校の教員が免許状を所持することを目指し、国が必要な支援を行うことが適当である」(中略)「小中学校の特別支援学級担任の所持率も現状の2倍程度を目標として、特別支援学校教諭免許状の取得を進めることが期待される」 ことが示されました。
このことを受けて、本研究所では、免許状保有率が低い視覚障害教育領域及び聴覚障害教育領域について、それぞれ第2欄に掲げる科目(各1単位)のインターネットによる免許法認定通信教育を平成28年10月から順次開講し、特別支援教育に携わる教員の免許状取得促進を支援してまいります。

(3)開講スケジュール
講習期間 | 開設科目 |
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平成29年4月~8月 | 視覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
平成29年10月~平成30年2月 | 視覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
平成30年4月~8月 | 視覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
平成30年10月~平成31年2月 | 視覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
平成31年4月~令和元年8月 | 視覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
令和元年10月~令和2年2月 | 視覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
令和2年4月~8月 | 視覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
令和2年10月~令和3年2月 | 視覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
令和3年5月~8月 | 視覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
令和3年10月~令和4年1月 | 視覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
令和4年4月~8月 | 視覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
令和4年10月~令和5年1月 | 視覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
令和5年4月~令和5年9月 | 視覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
令和5年10月~令和6年1月 | 視覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
令和6年5月~令和6年9月 | 視覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 心理、生理及び病理に関する科目 |
令和6年10月~令和7年1月 | 視覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
聴覚障害教育領域 | 教育課程及び指導法に関する科目 |
2. [参考] 特別支援学校教員の免許状保有率向上に関する最近の動向
(1)共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)
平成24年7月23日 中央教育審議会初等中等教育部会
第5章 特別支援教育を充実させるための教職員の専門性向上等
第2節 各教職員の専門性、養成・研修示度の在り方
第3項 特別支援学校教諭についての養成・研修
- 特別支援学校教員の特別支援学校教諭免許状(当該障害種又は自立教科の免許状)取得率は約7割となっており、特別支援学校における教育の質の向上の観点から、取得率の向上による担当教員としての専門性を早急に担保することが必要である。このため、養成、採用においては、その取得について留意すべきである。特に現職教員については、免許法認定講習の受講促進等の取組を進めるとともに、その後も研修を通じた専門性の向上を図ることが必要である。研修と実践を通じた授業力の向上を期待する。
- 特別支援学校の教員は必ず特別支援学校教諭免許状を保有するという方向で進めるべきである。そのため、保有率の計画的な引上げの方策として、同免許状を保有せずに特別支援学校に勤務することとなった教員には、数年内に保有させるなどの方針を教育委員会が明確にすべきである。また、そのために必要な環境整備や免許法認定講習が最優先で受けられるような配慮が必要である。さらに、専門性向上のため、地域の関係機関との連携による研修、大学等との研修を実施していくことが重要である。なお、大学の教員養成課程が限られている障害種についての教員養成の在り方についても、今後検討する必要がある。
【詳しくはこちら】
(2)平成26年度特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況等調査結果の概要
平成27年5月 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課
第1章 特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況等調査結果の概要
第1節 特別支援学校における特別支援学校教諭等免許状の保有状況
第1項 全体(国・公・私立学校)
平成26年5月1日現在
障害種 | 人数 | 当該障害種の 免許状保有者数 | 他障害種の 免許状保有者数 |
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人数 | 割合 | 人数 | 割合 |
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視覚障害教育 | 2,669 | 946 | 35.4% | 723 | 27.1% |
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聴覚障害教育 | 3,847 | 1,850 | 48.1% | 1,171 | 30.4% |
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知的障害教育 | 42,333 | 31,805 | 75.1% | 534 | 1.3% |
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肢体不自由教育 | 12,864 | 9,513 | 74.0% | 326 | 2.5% |
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病弱教育 | 2,689 | 1,955 | 72.7% | 143 | 5.3% |
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合計 | 64,402 | 46,069 | 71.5% | 2,897 | 4.5% |
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※免許状保有者数の中には、自立教科等の免許状保有者数を含んでいません。
【詳しくはこちら】
(3)これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について(答申)
平成27年12月21日 中央教育審議会
第4章 改革の具体的な方向性
第6節 教員免許制度に関する改革の具体的な方向性
第4項 特別支援学校教諭等免許状の所持率向上
- 特別支援学校の教員は、幼稚園、小学校等の免許状に加えて、特別支援学校教諭免許状を所持しなければならないが、相当免許状主義の例外として、教育職員免許法附則第16項において、当分の間特別支援学校教諭免許状を所持しなくても特別支援学校の教員となることができるとされている。
- そのため、特別支援学校の教員の特別支援学校教諭等免許状の所持率は、72.7%にとどまっている。しかし、特別支援学校の教員は子供一人一人の障害に応じた適切な指導が求められるほか、障害の多様化や重度・重複化への対応、特別支援学校が地域の特別支援教育のセンター的機能を発揮する必要性等から、これまで以上に特別支援学校の教員としての専門性が求められている。
- このため、教育職員免許法附則第16項の廃止も見据え、平成32年度までの間に、おおむね全ての特別支援学校の教員が免許状を所持することを目指し、国が必要な支援を行うことが適当である。集中的に所持率の向上を図るためには、都道府県教育委員会等、学校設置者における特別支援学校の教員の採用や配置、研修等を通じた取組を求めるとともに、国においても、現職教員に対する免許法認定講習の開設支援や、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所による免許法認定通信教育の実施、養成段階での免許状取得促進等の取組を進めることが考えられる。
- また、小中学校の特別支援学級や通級による指導の担当教員は、教育職員免許法上特別支援学校教諭免許状の所持は必要とされていないが、特別支援学級等での指導のみにとどまらず、小中学校における特別支援教育の重要な担い手であり、その専門性が校内の他の教員に与える影響も極めて大きい。
- そのため、小中学校の特別支援学級担任の所持率も現状の2倍程度を目標として、特別支援学校教諭免許状の取得を進めることが期待される。
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(4)全ての子供たちの能力を伸ばし可能性を開花させる教育へ(第九次提言)
平成28年5月20日 教育再生実行会議
第1章 多様な個性が生かされる教育の実現
第1節 発達障害など障害のある子供たちへの教育
第6項 特別支援学校教諭の同免許状保有必須化
- 国は、平成32年度までの間に、都道府県教育委員会等に対する特別支援学校の教師の採用・配置の在り方についての指導や、免許法認定講習の開設支援、国立特別支援教育総合研究所による免許法認定通信教育の実施等に集中的に取り組む。その結果を踏まえ、特別支援学校の教師についても特別支援学校教諭等免許状の保有を必須化する。特別支援学級の担当教師についても、現状の2倍程度を目指し保有率の大幅な向上を図る。あわせて、特別支援学級や通級による指導の担当教師について、教育委員会、教職大学院をはじめとする大学、国立特別支援教育総合研究所等の実施する専門的な研修の受講を促進する。
【詳しくはこちら】
3. [参考] 免許法認定講習・公開講座・通信教育とは(文部科学省ホームページより)
- 免許法認定講習・公開講座・通信教育とは、一定の教員免許状を有する現職教員の方が、上位の免許状や他の種類の免許状を取得しようとする場合に、大学の教職課程によらずに必要な単位を修得するために開設されている講習・公開講座です。
- 教員免許状を取得するためには、原則として大学等において学士の学位等の基礎資格を得るとともに、教職課程において所定の単位を修得することが必要です。
- しかしながら、教員の資質の保持・向上のため、現職の教員等がすでに所有している免許状を基にして、一定の在職年数と単位取得によって上位の免許状などを取得する方法も開かれており、免許法認定講習・公開講座・通信教育はこのために設けられている制度です。
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