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LD・ADHD・高機能自閉症
各障害に関する知識(LD・ADHD・高機能自閉症)
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LD・ADHD・高機能自閉症等の幼児、児童又は生徒の指導 - 個別の指導計画の立案・作成 -
特別支援学校の学習指導要領では、「自立活動の指導に当たっては、個々の生徒の障害の状態や発達段階等の的確な把握に基づき、指導の目標及び指導内容を明確にし、個別の指導計画を作成するものとする」と標記されています。そのため、個別の指導計画の作成の際には、自立活動の6領域26項目を参考に、それらを相互に関連付けることが求められます。
一方、「小・中学校におけるLD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」(以下ガイドライン)では、「個別の指導計画は、児童生徒一人一人の障害の状態等に応じたきめ細かな指導が行えるよう、学校における教育課程や指導計画、当該児童生徒の個別の教育支援計画等を踏まえて、より具体的に児童生徒一人一人の教育的ニーズに対応して、指導目標や指導内容・方法等を盛り込んだもの」であるとしています。通級による指導の場合には、自立活動に基づく指導を行うことが必要となります。しかしながら、通常の学級での指導の場合、特に自立活動の項目に基づいて個別の指導計画を作成するよりも、ガイドラインに示されているように、学校における教育課程や指導計画、当該児童生徒の個別の教育支援計画等を踏まえて、個別の指導計画を作成すればよいでしょう。
ただし、特別支援学校の学習指導要領に示されているように、「個々の児童生徒の障害の状態や発達段階等の的確な把握に基づき、指導の目標及び指導内容を明確にする」「長期的及び短期的な観点から指導の目標を設定して、達成するために必要な指導内容を段階的に取り上げる」「各教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の時間の指導と密接な関連を保つようにし、組織的、計画的に指導が行われるようにする」といったことに配慮して作成する必要があります。
個々の児童生徒の障害の状態を把握し、これに基づいて長期的及び短期的な観点から指導の目標を設定するなどの個別の指導計画の作成上の配慮は、通常の学級の担任からみると、あまり経験したことのないことです。そのため個別の指導計画は、担任が一人で作成するのではなく、校内関係者との連携のもとに校内委員会で作成することになっています。校内委員会のメンバーには特別支援教育に精通した教員もいます。また必要があれば、学校外の専門家チームのメンバーや巡回相談員に相談することも可能です。
1.目標の設定
目標の設定において重要となる情報は、保護者や本人のニーズに関する情報と児童生徒の現時点での得意なことや不得意なこと、好きなことや嫌いなことを含めた実態把握から得られます。本人、保護者のニーズが高いかどうか、早急を要する事柄かどうか、児童・生徒の現在の状態像にあっているかどうか、学校生活を円滑におくるために優先すべき事柄かどうか、二次的な障害への対応もしくは予防として重要な事柄かどうか、本人が意欲的に取り組める目標かどうかなどのことを考えながら、情報を整理し長期的な目標を検討します。可能であれば、本人と一緒に優先すべき目標を設定するなどの方法を用いてもいいと思います。自分で決めた目標は目標達成への動機付けを高めるための有効な手だてとなります。
多くの場合、長期的な目標に1年後の姿を、短期的な目標には学期終了時の姿や単元終了時の姿などを想定します。重要なことは、長期的な目標では指導の意図や育てたい力を明確にすること、短期的な目標では達成すべき目標を具体的に記述すること、短期的な目標と長期的な目標のつながりを明確に意識すること、短期的な目標は日々の指導を積み重ねた結果であることを忘れないことです。そのため、これらの指導の目標には一貫した方向性が必要となります。図36に各目標の関連性の模式図を示しました。指導の一貫性について考えるためには、短期的な目標や長期的な目標に向けて、より高次の課題・難易度の高い課題を解決できるようになるためのステップとして設定されているか、独力で実行するためのステップとして設定されているか、場面や反応が多様になるためのステップとして設定されているか、などのことを意識して作成するといいでしょう。また、下位の目標が全て満たされることで上位の目標に到達できる場合もあります。この場合には、並列的に目標が並ぶことになります。
図36 各目標の関連
目標が短期になればなるほど児童生徒に対してより具体的な目標を設定し、評価できるようにすることが求められます。例えば「机上を整理する」よりも、「授業の前に、用意するものリストを見て友達と一緒に必要なものだけを机の上に出す」の方がより具体的な目標です。次の段階として、「授業の前に、用意するものリストを見て一人で必要なものだけを机の上に出す」というステップを考えることができます。また、目標を具体的にするには、「いつ、どんな時の目標なのかといった目標に沿った行動を求める時の条件」と「何を評価するのかが明確となっている行動水準の動詞」また、「達成の基準」が示される必要があります。条件は「○○した時」や「○○の支援がある時」などで記述されます。行動水準の動詞は「理解する」や「気付く」などの動詞ではなく、「書く」や「線を引く」「口頭で答える」などの目で見える動作を表す動詞が望ましいといえます。「達成の基準」は、「8割以上」や「○分間の(もしくは○○している)間」などが記述されます。
2.指導の手だて
指導の手だては、児童生徒の実態把握から得られた情報を基に、児童生徒の特徴に応じて作成される必要があります。これは目標を達成するための具体的な方策です。ただし、短期的な目標が具体的に記述されていれば、その中に大枠となる手だては記述されるようになります。日々の指導における目標を想定していれば、短期的な目標の手だても段階的に考えられます。
3.協働を促すツールとして活用するために
小中学校での対応を考えると、「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」対応するのかを明確にし、関係する教員が共通理解をしておく必要があります。例えば、通級指導教室や特別支援学級の教員による指導を活用していたり、学校でオープン教室を設置して活用していたりする児童生徒の場合です。このような時には、それぞれの場でどのような目標が設定されているのか、通級指導教室等の指導における目標は通常の学級の指導にどのように関連付けられているのか、また通級指導教室等で行っている指導の成果や有効であることがわかっている指導方法を通常の学級の中でどのように生かすのかなどを考え、目標の設定や指導の手だてを検討します。そのことにより、それぞれの場での指導を生かしながらより一貫性のある有益な指導を行うことが可能となります。
上記以外にも、「途中で教室から出ていってしまう」などのように、担任一人では対応できない問題もあります。教室から出ないで済むように配慮することは必要なことですが、出ていってしまった場合に、「誰が」「どこで」「どのように」対応するのかを決めておく必要があります。また、目標によっては複数の教員でかかわる必要がある場合があるでしょう。そのような場合、設定した目標と手だてに関する情報を共有し、誰が対応する時であっても一貫した手だてが適用されるように共通の理解をもって対応する必要があります。
さらに、個別の指導計画は、次の学年で担任が変わったり、進学や転学等があったりしても、適切な指導が一貫して行われるように、児童生徒の状態を引き継ぐ役割も果たします。引継ぎには、個別の指導計画を渡すだけではなく、話し合いをもつことが重要です。
個別の指導計画は、記載された情報を共有することによって、関係教員間の協働を促す役割を果たすツールとして利用することができます。
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