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言語障害
各障害に関する知識(言語障害)
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言語障害教育における言語機能の基礎的事項の発達の遅れや偏りに関する障害の指導
1.言語機能の基礎的事項に発達の遅れや偏りのある者
話す、聞く等言語機能の基礎的事項の発達の遅れや偏りは様々な要因で生じます。聴覚障害、知的発達の遅れ、肢体不自由、視覚障害に伴って生じる場合もあります。他の障害に伴って生じる場合には、主たる障害に対応した教育の場において教育することになります。言語障害教育の指導の対象となるのは、それ以外の児童生徒で言語機能の基礎的事項の発達の遅れや偏りがあり、個別指導が有効と考えられ、系統的な言語指導等を必要としている場合です。
2.言語機能の基礎的事項に発達の遅れや偏りについての実態把握
言語機能の基礎的事項に発達の遅れや偏りのある児童生徒の実態把握は、生育歴の把握、養育環境の把握、学校や家庭での生活の中で行動観察等のほかに言語発達検査や発達検査、知能検査、親子関係を診断する検査、社会生活能力検査を用いたりする等、言語の状況と言語の発達を支える諸側面を観点に行います。このような検査や観察等の結果を総合して、個々の児童生徒の言語機能について的確に把握することが大切です。
3.言語機能の基礎的事項に発達の遅れや偏りのある児童生徒への指導・支援
児童生徒への指導・支援は、児童生徒の言語機能の実態に応じて、児童生徒への個別指導、児童生徒を取り巻く周囲環境への働きかけ等を行うことが大切です。
(1) 児童生徒への個別指導
児童生徒への個別指導は、言語機能の基礎的事項の発達を支える諸側面に働きかける指導や、既に習得されている言語機能の基礎的事項を整理し広げていく指導などが考えられます。
1) 言語機能の基礎的事項の発達を支える指導
[コミュニケ-ション態度・意欲の育成・向上を目指した指導]
言語機能の基礎的事項は、周囲他者との共感的なかかわり合いの中で発達し、育っていくものです。したがって、言語機能の基礎的事項を学習するための前提として、児童生徒が、周囲の人たちと一緒にいて、やりとりをすることを楽しめることが必要です。つまり、児童生徒のコミュニケーションの意欲・態度を育てていくことが大切になります。そのためには、教師は児童生徒との共感的な人間関係を形成し、児童生徒の興味・関心に即した教材を活用し、話題を共有したり、言葉でのやりとりを活発にしたりするような指導を行う必要があります。
例えば、日々の学習活動の中に、やりとりそのものを課題とした学習課題や学習場面を設定したり、また、学習活動全体を通して、言葉でのやりとりが活発になるように配慮して行ったりすることなどが考えられます。低学年の児童であれば、遊びや生活体験的な活動の中で、高学年の児童生徒であれば、教師との話し合い活動や児童生徒の興味・関心に基づく学習課題を設定し、その中で、やりとりを活発にしていきます。このような学習場面では、児童生徒の自発性を尊重し、教師からの指示はできる限り控え、共に活動することが大切です。
具体的な活動としては、工作・粘土・自由画等の製作的な活動、ボール遊び等の体育的な遊び、キャラクター人形等を使った遊び等を通して、やりとりを楽しく行うとともに、自己表現力を高めるように指導する必要があります。
また、このような課題のある児童生徒は、年齢相応の語彙や言語表現を獲得できていない場合も考えられます。したがって、経験した事柄等を基に、事物の名称や状況の説明の仕方、事物と事物の関係を表す言葉を表現できるような指導も必要になります。
具体的には、実際に経験したことを絵や写真などを手掛かりに順序立てて説明したり、キャラクター人形やおもちゃなどを使ってストーリーを作ったり、やりとりを行ったりする活動です。
このように実生活に即したテーマを話題にしながら、児童生徒のコミュニケーションの意欲の向上や語彙を豊富にしていくことが大切です。
[言語活動の楽しさを学ぶ必要がある児童生徒への指導]
基礎的な語彙の力があり、基本的な文法の理解はできても、実際の生活の中で使用することが少ない児童生徒には、言葉や文字を使ってやりとりをしたり、活動することの楽しさを学ばせたりする必要があります。
言葉や文字は、日常の生活の中で、周囲他者とのやりとり、出来事を記録するなどの場面で使われています。したがって、言葉を使うことの楽しさや便利さを実感させることも言葉を育てるために大切なことです。
具体的には、言葉を使った活動として、例えば、児童生徒が興味・関心のある事柄を友達や保護者などに紹介する活動を計画することが考えられます。低学年であれば、学習発表会等での活動、高学年であれば、ビデオカメラを活用した番組作りなどの活動も考えられます。文字を使った活動として、低学年であれば、絵日記を書いたり、書いた絵日記の内容を話題にして教師との話し合う活動をしたり、また、教師との交換日記やお手紙ごっこ等の活動も考えられます。高学年であれば、新聞作りや調べ学習などの活動も考えられます。
ワープロやお絵かきソフト、電子メールなどコンピューターを活用した活動も考えられます。
このような課題のある児童生徒は、友達関係で孤立しやすかったりする場合も考えられます。したがって、仲間と遊ぶ楽しさを感じられる活動を行ったり、設定場面でスピーチや感想などを発表する機会を設けたりして、友人との親和的な関係ができるように配慮することも大切です。そして、よできたことやがんばれたことを具体的に伝え、児童生徒に自信をもたせていくことも重要なことです。
2) 言語機能の基礎的事項を整理したり拡充したりする指導
[語彙や文を構成するなどの基礎的な力の拡充を目指した指導]
語彙や文を構成するなどの基礎的な力をより確実にし、拡充する必要がある児童生徒には、言葉を取り出して、整理したり、広げたりする活動が必要です。
また、同じ音で始まる言葉を集めたり、言葉相互のつながりを整理したりする学習活動も考えられます。具体的には、「ことば絵じてん」を作成したり、「なぞなぞ」や「クイズ」を考えたりすることなどの学習活動を行います。
このような課題のある児童生徒は、抽象的な言葉や助詞・格助詞・接続助詞等の使い方を学習することも大切です。帽子をかぶっている絵を見て状況を理解し、動作化しながら「ぼうし○かぶる」の助詞について指導します。更には「ので、から、のに、けれど」等を正しく使えるように、因果関係の理解や関係性の理解を高める指導も必要です。この指導としては、絵や写真を時系列に並べたり、途中の絵が抜けている場面について考えたりする学習です。前後の状況を考え、場面を理解して正しい文章で説明できるように指導することが大切です。
[話す、聞く、読む、書くなどの言語スキルの向上を図る必要のある児童生徒への指導]
自分の気持ちを話し言葉で他者に説明したり、文字で表現したりする能力や、他者の気持ちを文字や話し言葉によって理解したりする能力などが、年齢相応に十分発達していないような児童生徒に対しては、言語機能の基礎的事項についての個別指導やグループ指導が必要です。
言葉と具体物や絵カード、実際の体験などを照合させて、話したり、書いたりする活動を行うことにより、基礎的な言語スキルの向上を図るようにします。例えば、2~3枚の人物・動作・もの・季節などの絵をもとにその状況を考えて話を作ったり、場面を説明したり、文を書いたりします。起承転結のある絵や「何をして、どう感じたか」等に沿ってその内容を簡潔に話させたり、文章に書かせたりします。さらには、トラブルの場面のシミュレーションを行い、相手の気持ちやその対応について考えていく活動などが考えられます。
書くことが苦手な児童生徒には、マス目のノートを用意し、左から右へ書くなどの文字表記のコツや留意点を指導していくことが大切です。
3) 指導上の留意点
言葉は、様々な人とのかかわりや経験によってはぐくまれ、社会性や運動能力など様々な能力が統合してその機能が向上していくものです。したがって、言語機能の基礎的事項に発達の遅れや偏りのある児童生徒には、幅広い指導が求められます。上記のような指導のほかにも、下記のような視点を基本に指導していくことが必要でしょう。
[児童生徒が能動的に取り組めるような学習課題を設定すること]
児童生徒がやらされていると思うのではなく、自分から進んで取り組んでいるという気持ちで学習が進められるよう配慮することです。そのためには、児童生徒の実態把握を行い、興味・関心を生かした課題設定、教材研究が大切になります。また、児童生徒の「できること・得意なこと」を伸ばす視点も忘れないようにしたいものです。
[スモールステップで学習を進めていくこと]
ある目標に対し児童生徒に応じた適切なステップに細分化し、一つずつ着実にクリアーできるように学習を組み立てることが必要です。
[児童生徒が行ったことに対して即座に評価を返すこと]
評価を返す時には、正解しているか、していないかということだけでなく、「こういうところがよかったね」など、具体的にどういうところがよかったのかを伝えて誉めることが大切です。小さなことでも、先生に誉められたという体験を積み上げていくことが、児童生徒の自信や自己有能感につながります。
[繰り返し行うこと]
児童生徒が知識や技術を獲得し、その知識が定着し、活用できるまで、繰り返し、繰り返し行うことも大切です。
(2) 児童生徒を取り巻く周囲環境の整備と働きかけ
言葉は児童生徒を取り巻く周囲環境との相互作用によって、発達していくことはいうまでもありません。
とりわけ周囲の人とのかかわり合いは重要です。家庭は日々の生活の中で、保護者や家族との共感的な関係が成立し、コミュニケーションが十分の行われていることが必要となり、在籍する通常の学級においては、担任教師やクラスメートとのコミュニケーションが重要です。したがって、児童生徒と周囲の人たちがよりよい関係を取り結び、共感的で心豊かなコミュニケーションが行われるように働きかけていくことが必要となります。
1) 在籍学級の担任との話合い
在籍学級担任との話合いでは、児童生徒の状況を相互に確かめ合い理解を深めるとともに、よりよい働きかけについて一緒に考えていく必要があります。学級の友達とのかかわり合いについても、周囲の児童生徒に理解を求めるだけでなく、共に活動する題材や場面を設定し、コミュニケーションが活発になる具体的な取組を考慮する必要があります。
特に、通常の学級における活動の中で支援する場合は、あくまでも担任の指導内容やねらいに沿えるように事前に話合いをもつことが重要です。通常の学級での実際の指導場面では、周囲の児童生徒の動向にも気を配り、支援する児童生徒に個別にかかわり過ぎることで、その児童生徒に差別感や孤立感、羞恥心などが生まれないよう十分配慮することが大切です。
また、周囲の児童生徒に理解を求めるには、総合的な学習の時間などで、障害に関する学習が展開できるように、在籍学級担任に対して専門的な知識の提供を行うことも重要です。
2) 保護者との話合い
保護者との話合いでは、児童生徒の状況について理解を深めたり、つまずきやそのための働きかけについて教師が一緒に考えるなどの取組が必要です。なお、在籍学級担任とともに保護者を支援する場合には、学級担任への支援も視野に入れて保護者との相談に当たることが重要になります。また、要望があれば専門機関についての情報の提供や校内の特別支援教育コーディネーターを紹介することも大切です。
言葉は文化的活動の中ではぐくまれていくものです。日常の生活の中で、児童生徒が様々な文化に触れる機会を設定することも大切です。季節の変化に伴って、その折々の風物を題材にした壁面構成などの掲示の工夫、遊びやスポーツ、音楽、絵画等を題材としたものなど児童生徒の興味や関心を喚起するような活動を工夫しながら行っていくことが大切です。
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