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肢体不自由
各障害に関する知識(肢体不自由)
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肢体不自由教育を支援する情報機器等の活用
平成14年6月に文部科学省が作成した『情報教育の実践と学校の情報化~新「情報教育に関する手引」~』(
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/020706.htm
)の第7章は、「特別な教育的支援を必要とする子どもたちへの情報化と支援」というテーマで書かれており、この中でも「肢体不自由のある子どもの情報教育の意義と支援のあり方」について述べられています。
この中でも触れられていますが、運動障害があるために今まで表現できなかったことが、支援機器の利用を進めることで表現できるようになったり、普段の行動が狭い範囲にとどまっていても、インターネットを利用することで、バーチャルなものではあるが擬似的に体験できるようになったりしてきています。具体的には、上肢の運動障害のために文字が書けなかったり絵が描けなかったりしても、パソコンを利用することで、ワープロで文字を書いたりグラフィックソフトで絵を描いたりできることや、移動できなくてもインターネットを利用していろんな調べ物をしたり、必要なサービスが受けられるようになってきていることなどが挙げられます。
肢体不自由のある子どもの中には重度の構音障害のある者もみられ、そのような場合には、コミュニケーションエイドを利用することも考えられます。コミュニケーションエイドの中には、パソコンを利用したものがあったり、音声を出力することで意思表示を支援する音声出力型コミュニケーションエイド (Voice output communication aid;VOCA)などがあったりしますが、本人の音声による意思表示に過度にこだわらず、これらの支援機器を効果的に利用することで意思表出の幅が広がると考えられます。
運動障害があって支援機器を利用する場合、障害の状態によっては機器を直接操作できないことがあります。その場合には、機器の入力部分に工夫が必要です。例えば、パソコンへの入力で特殊なキーボードやマウスを用意したり、特殊なスイッチを使って支援機器に入力できるようにしたりすることが考えられます。これらの支援機器への入力の部分は機器と人とが直接触れあう部分であり、微妙な調整が求められる部分です。何度も試行しながら細かく調整(フィッティング)することが求められます。スイッチを使用する場合には、身体のどの部位を使用するのか、どのようなスイッチを利用するのか、腕を伸ばしてスイッチを押すのかそれとも引いて使用するのか、その運動の方向や筋緊張の程度、スイッチを置く場所や角度に配慮をしたり、パソコンに特殊なキーボードを使う場合にはキーボードの大きさや位置、キーの配列などにも配慮が必要となります。大きなキーボードを使う場合には、それだけ使用する部位の可動域が必要ですし、逆に可動域が狭い場合には、小さめのキーボードを使用するといったこともあります。
また、これらの支援機器を利用する際には、本人の使用状況や場面に応じて機器の設定を細かく変更したり、複数の設定を用意したりすることが重要です。これらの支援機器は、使用が想定される障害の状況に幅をもたせて作られているため、最初に使用する時には利用者の状況に合っていないことが多くあります。機器の画面に表示される選択項目の数や大きさ、機器の反応速度、項目を選択する時の方式(スキャン方式等)など、設定の必要性は多岐に渡っています。そのため、どのような支援機器があるのか、どのような支援機器を選べばよいのかというだけでなく、その機器の使用方法を理解したりフィッティングができたりすることも重要であり、また児童生徒によっては機器の使い方をどのような手順を踏んで学習させることが必要か、計画を立てる力も必要となってきます。支援機器によっては、その機器を利用できるかどうか障害の状況を評価するプログラムをもっていたり、機器の操作を学習するためのソフトウェアが付属していたりすることがあります。このようなソフトウェアを適切に使って操作の習得を効果的に行い、支援機器を授業の中で積極的に利用できるようにすることが重要です。
実際の操作場面では単にスイッチを押すなど機器の操作ができればよいというだけでなく、児童生徒の全身の姿勢管理も重要です。コミュニケーションエイドやパソコンを操作する時には、これらの支援機器と利用者との位置関係、操作する時の全身の筋緊張の変化(上肢での操作に伴って下肢が緊張したり頭部が動いたりしていないか等)、頭部の位置(支援機器の操作画面が視野に入っているか)などが適切かどうか配慮する必要があります。長期間このことに配慮せずに機器を使っていくと、身体の変形が進んだり、機器を操作すると短時間で疲れてしまったりする場合があります。そのため、児童生徒の姿勢管理の問題については校内の自立活動の担当者や医療・福祉分野のリハビリテーション関係者との連携を緊密に行う必要があります。さらに長期の間には、身体の成長や姿勢・筋緊張の変化等に伴って、当初行ったフィッティングでは本人の実情に合わなくなることがあり、経時的にフィッティングを行っていく必要があります。これは学年をまたがっての配慮が必要なこともあり、そのときの担任や支援機器の担当などといった個人の問題ではなく、継続的にフォローできる校内の体制が必要であり、個別の指導計画に明示するといった工夫が必要となります。
以上、支援機器を操作する時の配慮を中心に述べてきましたが、授業を行う際には支援機器の環境を整えるだけでなく、児童生徒がやりたいことや表現したいことをいかに育てられるかが最も重要となります。運動に制限があるために一般の小・中学生に比べて社会経験が乏しい肢体不自由児の場合、興味・関心の範囲が狭くなっていることも考えられます。パソコンが使える環境を整えてワープロで文字が書ける状況にあったとしても、書きたいことが見あたらないといったことでは、本末転倒です。機器を利用できる環境を整えるだけでなく、機器を使って実現したいことをどれだけ豊かにできるかが、最も重要な課題であるといえます。
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