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コンサルテーション実施上の課題

 特別支援教育を推進するには、特別支援学校のセンター機能を充実させることが重要といわれています。中でも、教育相談活動が有機的に働くことが何より重要との考えは、いうまでもありません。この教育相談活動の同一線上に位置するものとして、学校コンサルテーションがあります。


 学校コンサルテーションとは、教育の専門家に対して、教育や心理、福祉、医療等の近接領域の専門家が情報交換や情報提供・アドバイス等を行うことによって、間接的に支援することで、子どもの教育等を充実させていく方法を言います。


 学校コンサルテーションは近年、その必要性が急速に問われていますが、その実施や方法等については、まだ、研究も取り組みも始まったばかりです。教育相談活動がやっと軌道に乗ってきた地域にとって、コンサルテーションの実施までは至らないのが現状という意見もありました。それでも教育相談活動を行うにあたって、「関係諸機関との連携」が何より重要だとの考えでは一致するところです。また、「学級担任と連携」することも重要であるとの考えでも一致するところです。この「連携」がやがてコンサルテーションへと変容・発展していくのではないかと考えています。


 学校コンサルテーションを実施するにあたって以下の課題を整理しておくことが大切です。
 

1.すべてをコンサルタント一人で解決しようとせず、
他領域の専門家に繋ぐこと



 コンサルテーションで取り上げられる問題(課題)は、あらゆる領域にまたがったものになる可能性があります。それに対して、コンサルタントの持つ専門性は限られたものです。子どもの状態や課題によっては、コンサルタント一人で解決を支援することが困難なことはたくさんあります。こんなとき、不確かな助言をしたり、解決や対応を後回しにするのではなく、他領域の専門家の支援を仰いだり、他領域の専門家へとつなぐ方策を提案することが大切です。このような他領域との専門家との連携が、必要に応じて適宜可能になるには、コンサルタント自身が日頃から他領域の専門家と顔見知りになったり、研究会に出席したり等、様々な形での付き合いを強化しておくことが大切です。


2.校内支援体制の活性化への支援を行うこと



 校内支援体制を作るには、まず管理職の理解を得ることから始まります。特別支援教育では子どもや保護者の支援をするだけでなく、学校全体の協力体制を作って、担任をも支援し、子どもを支えていくことが大切です。そのためには教職員全員が一人ひとりの子どもの成長に関心を持ち、全員が子どもの情報を共有することです。さらに、職員会議や校内委員会等の場で、子どもの課題が報告されるなど校内で対応を考える場の設置が重要です。推進役の特別支援教育コーディネーターを中心に管理職、教務主任、養護教諭、当該学年主任、当該学級担任が集まって協議し、具体的対応案を作り、全校に諮っていくシステムが有効に機能するように支援を行うことが大切です。




3.子ども理解の視点を教師(コンサルティ)と共有すること



 コンサルタントは、コンサルティに具体的な支援方法を提示することばかりを考える必要はありません、具体的な支援方法を提案することは支援のヒントにはなりますが、このこと事体が学校コンサルテーションの本来の目的ではありません。重要なのは、子どもの理解(見方)の視点を共有でき、コンサルティが実行可能な支援方法に気付くように支援することです。これにより、コンサルティが自分は支えられていると実感し、コンサルティの心のゆとりにつながり、子どもへの適切な対応へとつながっていきます。



4.早期からの発見システム、支援システムへの参画を考えること



 支援を必要とする子どもたちを、生涯にわたって支援していくことの重要性が言われています。このことを考えると、それぞれの地域に、こうした子どもに対する乳幼児期からの発見システムと、支援システムを作ることが重要です。そのシステムに教育の専門家として参画していくことが、一貫した生涯にわたる支援をする第一歩となるのです。例えば、乳幼児健康診査等への協力とフォーローアップに参画し、乳幼児期からの発達を追跡することで、小・中学校期での対応をより具体的に行うことが可能になると考えられます。



5.地域リソースマップを作ること



 学校を核とした医療・福祉・教育・労働へと続く連携は、障害のある子どもの暮らしや保護者を支える視点が何よりも重要です。そのために、子どもが暮らす地域にどのような支援組織(地域リソース)があるのか、コンサルテーションを行うにあたっても、そのマップ(地図)を頭に描いておくことが、連携への第一歩といえます。このマップを手がかりにネットワークが作られ、支援の幅が広がっていくことにつながっていくのです。


 この地域リソースマップが有効に活用されると、どの領域の専門家に繋ぐことが可能かが明らかになり、必要なときに必要に応じた支援ができることになります。



6.障害についての情報収集や研修・研鑽に努めること



 コンサルタントはすべての問題を一人で解決する必要はない、他領域の専門家との連携が大切と先に述べました。障害についても、すべての障害についてわかるということはありません。それでも、コンサルタント自身の専門性をより研鑽し向上させることと同時に、教育に関することについて、他障害等の情報を入手したり、その対応や教材等の実践事例の研究に努めることは重要なことです。


 特別支援学校のコーディネーターが地域支援を行うとすると、いろんな不安や課題を抱えた人との出会いがあると思います。コーディネーターの得意分野の相談ばかりではありません。むしろ良く分からない、今まで経験したこともない、そんな内容や課題を抱えた人との出会いの方が多いのではないでしょうか。それゆえ、他領域の専門家との連携が重要なのですが、さまざまな事例や課題に遭遇することを考えると、コーディネーター自身がいろんな知識を知り、見聞を広げることは望ましいことです。研修の意義もここにあります。