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特別支援教育コーディネーターの役割 2 
(特別支援学校) 



1.特別支援学校の特別支援教育コーディネーターに求められる役割


 特別支援教育の構想を提言した「今後の特別支援教育の在り方について」(平成15年3月)において、特別支援学校の特別支援教育コーディネーターに求められる役割は、以下の4つに整理されています。 


   (1) 学校内の関係者や関係機関との連絡・調整
   (2) 保護者に対する学校の窓口
   (3) 地域内の小中学校等への支援
   (4) 地域内の特別支援教育の核として関係機関との密接な連絡調整

 (1) と (2) については、先に述べられている“小中学校の特別支援教育コーディネーターに求められる役割”と共通している部分です。校内委員会を積極的に活用して、支援対象となる子どもを担任している教員を支えたり、校内にいる様々な専門性をもった教員(校内資源)を活用するための組織作りをしたり、校内研修や資料配付等による啓発活動を通して校内の特別支援教育に対する意識作りを行ったりします。また、在校生とその保護者からの特別支援教育に関する相談の窓口として、面接や指導助言、教材教具の紹介、医療や福祉、労働等の専門機関との連絡調整を行います。   


 特別支援学校の特別支援教育コーディネーターでは、校内外の連絡調整の役割に加えて、地域における特別支援教育に関する相談の「センター的機能」の役割を推進する中心的存在としても期待されています。地域の小中学校へ出向いて、特別支援教育に関する情報や知識の提供、学級での指導に関するコンサルテーションや校内組織作りに関する助言等、あるいは研修の講師として学校全体の意識を啓発していくことが期待されます。


 また、就学前から卒後の進路と経済的な自立まで一貫した支援体制を構築するためには、乳幼児期では保健センターや療育機関とのネットワーク作りが期待されますし、学齢期には児童相談所や教育センター等の相談機関、卒後では労働機関等とのネットワーク作りが期待されます。また障害の特性に応じた医療機関との連携も重要な支援ネットワークの一部となるでしょう。


 特に学齢期においては、今、地域の特別支援教育の体制が整備されつつある状況にあり、自治体によっては、教育委員会からの支援チームの派遣や巡回相談の仕組み、広域の連携システムおよび研修システム等が立ち上がっているので、教育関係機関同士の連携を通して、校内での支援を充実させていくことも重要な役割として期待されています。 



2.特別支援学校における「地域のセンター的機能」について

 
 文部科学省の推進する特別支援教育体制の構築においては、小中学校と特別支援学校の体制作りにおいて、それぞれの力点に違いが示されています。小中学校よりも早期からスタートしている特別支援学校では、特別支援教育コーディネーターが「地域のセンター的機能」の中心的役割を果たすことに大きな期待が示されています。


 これまでの特殊教育では、盲学校では視覚障害、聾学校では聴覚障害、養護学校では知的、情緒、肢体不自由、病弱等、校内の児童生徒に対する障害種別ごとの専門性が主として高められてきましたが、今後は盲聾養護学校の名称も「特別支援学校」へと変わり、障害種別の専門性だけを高めるだけでは十分な「センター的機能」を果たすことが難しくなることが予想されます。近年、小中学校への支援に関していえば、LD・ADHD・高機能自閉症といった、いわゆる「発達障害」への対応のニーズが高まっており、これまでにあまり出会ったことのない障害等についても、指導や対応に関する情報や技能を提供することが必要となっています。


 そこで、特別支援学校の特別支援教育コーディネーターは、こうした発達障害についても、提供できる知見や対応の方法等を個人レベルで蓄えるだけでなく、組織レベルで蓄えていくことが期待されています。そういった意味では、コーディネーターに指名された教員は自己研修の機会を積極的に得ることが期待され、あるいは各種情報の収集に個人レベルで努めていく必要が生じてきます。一方、小中学校を支援する「センター的機能」は、特別支援教育コーディネーターだけが担うものとして位置付けられてはいないので、校内の組織や学校内外の人的資源を積極的に活用することも重要となります。この点においては、さまざまな専門性をもった機関や人脈を日頃から形成しておくことが重要といえるでしょう。また、支援対象となる小中学校の中にもそうした人的資源や校内体制のあることは十分に考えられるので、そうした資源を小中学校自体が積極的に活用できるように組織作りの援助をしていくことが「センター的機能」の中心的機能となる場合も多々あるのではないかと予測されます。



3.「センター的機能」におけるコンサルテーションとは


 

 前項で示した「地域のセンター的機能」の枠組みの中で小中学校を支援していく際に、特別支援教育コーディネーターがコンサルタント、小中学校教員がコンサルティという位置付けられて支援していくことが想定されます。このように学校内外で特別支援教育コーディネーターがコーディネーションやコンサルテーションで果たす役割は、大別して以下の3点が考えられ、その機能を発揮することが期待されています。 

 (1) 連絡・調整に関すること


  地域における関係機関とのネットワークの構築に関すること  

 (2) 特別支援教育のニーズがある児童生徒や保護者の理解に関すること


  障害のある児童生徒、特にLD,ADHD等の発達障害 児童生徒、保護者、担任との相談   

 (3) 障害のある児童生徒など教育実践の充実に関すること

  障害のある児童生徒の教育に関する知識 
  個別の教育支援計画の作成・実施・評価 
  

 (1) および (2) の機能、つまりコーディネーションの機能が発揮されることの重要性は、これまで述べてきたとおりです。 


 ここでは、特に (3) の“教育実践の充実に関すること”の中に、「個別の教育支援計画の作成・実施・評価」が、特別支援学校の特別支援教育コーディネーターの行うコンサルテーションの機能として重要であることを強調したいと思います。 
 個別の教育支援計画の作成」においては、特にアセスメント(見立て)の視点が重要となってきます。支援の対象となる子どもの実態をどのように把握し、その結果をどのような支援へと結びつけていくかが大切です。
 アセスメントについては、子どもの状態を多面的に捉える視点が重要であり、幅広い知見や専門性を必要する場合もあります。相談の窓口としての機能を果たす特別支援教育コーディネーターは、各専門性についての深い知見は必ずしも必要ではありませんが、子どもの示している問題がどのような専門性からの見立てを必要としており、どういった資源を導入して支援していく必要があるのかといった、最初の大まかな見通しや支援の流れをイメージとして描く機能が重要となってきます。   


コーディネーター(この場合にはコンサルタント)が留意すべきアセスメントのポイントとしては、
  1)発達障害を含むなんらかの障害の可能性を見立てること、   2)精神的な疾患の可能性や心理的な問題の可能性を見立てること、   3)家庭の養育環境や校内での人間関係など、環境的な要因を見立てること、  の3つのポイントに注目することが有効だろうと考えられます。
 

 こうした多面的なアセスメントを実施して、子どもの生涯を見通した上での「個別の教育支援計画」を作成していくことは「センター的機能」の枠組みでコンサルタントが行うコンサルテーションの役割の一つとして、たいへん重要なものと考えられます。なぜなら、この個別の教育支援計画こそが今後の全ての支援の基となるものだからです。 



4.コンサルタントとして求められる資質や技能


 特別支援学校の特別支援教育コーディネーターがコンサルタントとして期待される「地域のセンター的機能」では、これまでの教員としての専門性だけでは対応が難しさがあるかもしれません。そこで、具体的に特別支援教育コーディネーターがコンサルタントとして求められている資質や技能についてまとめてみたものが、以下の6点になります。これらの資質や技能について研修や研鑽を深めることは特別支援教育コーディネーターの役割を実践していく上での基礎となるものです。ただ、地域の支援体制の在り方や学校・学級の実情、各教員の力量等によっては、これらの資質や技能が必ずしも必要でない場合もあります。また、一人のコーディネーターが備えるべきものとしては広範囲に渡る資質や技能でもあるので、チームワークやネットワークを積極的に活用して、その時の必要性やその場の重要度に応じて可能なところから深めていくこと必要です。

(1) コーディネーションの力


  校内外の資源と子どもの教育的ニーズを結び付ける

(2) コンサルテーションの力


  保護者や担任教員へのアドバイスや指導法について提案や助言等をする

(3) ファシリテーションの力


  必要な連絡調整を行い、校内の教員等の力を集めて、指導・支援の取り組みを促進する   (4) ネットワーキングの力  地域の各種資源との間にネットワークを構築する  

 (5) カウンセリングの力


  保護者や担任への相談の窓口的役割を担う  

 (6) アセスメントの力  


子どもと子どもを取り巻く環境を含めて問題の実態を把握し支援を組み立てる   


(1)は、校内外のさまざまな人的資源や組織作りの活用を積極的に行っていくのに際して発揮されるでしょう。
(2)は、校内で支援を必要とする子どもと教員、あるいは小中学校への支援に際して発揮されるでしょう。
(3) は、校内の組織体制作り、あるいは小中学校での組織体制作りに際して発揮されるでしょう。
(4)は、校外の各種専門性を持った機関との連携に際して発揮されるでしょう。
(5)は、保護者や子どもの問題への気付きや初期の情緒的な混乱、あるいは教員の心理的な負担等に対応する際に発揮されるでしょう。
(6)は、問題の実態把握と実際の支援方法の組み立てに際して発揮されるでしょう。


 これらの資質や技能を切磋琢磨し、それらを校内組織の中で共有し活用していくことが、特別支援学校の特別支援教育コーディネーターの役割の核となり、「地域のセンター的機能」としての資質を向上させていくことに繋がるだろうと考えられます。