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特別支援教育コーディネーターの役割 1 
(小中学校)

 特別支援教育コーディネーター(以下、コーディネーターと記す)に求められる役割はいくつかありますが、学校の状況やコーディネーターの位置づけなどによって果たすべき役割は様々です。しかし、どのような場合もコーディネーターが孤軍奮闘するのではコーディネータ一人の負担が大きくなるばかりです。学校というチームの中で、子どもや担任にかかわっていけるような体制作りをすることがとても大切になります。ここではコーディネーターが役割を遂行するためのポイントを整理します。


1.小中学校の特別支援コーディネーターに求められる役割



 小中学校のコーディネーターに求められる役割には、主に(1)校内の教員の相談窓口、(2)校内外の関係者との連絡・調整、(3)地域の関係機関とのネットワーク作り、(4)保護者の相談窓口、(5)教育的な支援があります。


1)校内の教員の相談窓口


  教員の相談窓口として求められる役割は、担任等、児童生徒にかかわっている教員の悩みに耳を傾け、悩みの内容、児童生徒と教員をめぐる状況などを把握・整理することです。それには、まず困っている教員から話を聴こうとする姿勢が必要です。さらに、話の内容とコーディネーターが持っている障害についての知識などからアセスメントをし、その後の対応を考えていく窓口となります。コーディネーターが窓口となることで、特別支援学級の教員からアドバイスをもらったり、校内委員会での検討を考えたりと、担任一人でなく、複数の教員で支えていくことを目指します。

2) 校内外の関係者との連絡・調整


  連絡・調整役として求められる役割は、まず、学校内外の関係者とコンタクトを取ることです。そして、情報を集めたり、支援のための知恵や力を引出し合うことで、チームワークを形成していきます。子どもの支援という目的のために、今まで子どもと関わってきた職員(例えば、幼稚園や保育園の先生)やこれからの支援を考える上で求められる専門機関の職員(例えば、医療関係者、特別支援学校のコーディネーターなど)と連絡を取り、校内と校外の関係者をつなぐ連絡窓口としての機能が求められます。また、現在そして今後どのように支援をしていけばよいか、複数の教員や機関で方針を共有することを目指します。

3)地域の関係機関とのネットワーク作り


  連絡・調整で顔見知りになった関係者同士が連絡を取り合えるよう、コーディネーターは調整をおこない、ネットワークを作っていく役割があります。普段から連絡を取り合える関係を作っておくことは、いざ話し合いたいと思った時に連絡が取りやすくなります。面識のない人に連絡を取ろうとしても、つい腰が重くなります。連絡を取ることが必要だと思っていながらなかなか腰が上がらない状態では、その結果が子どもへの支援への遅れになりかねません。学校の事情などで外に出にくい場合もあるかもしれませんが、地域の連絡会、勉強会など様々な機会を上手く活用し、顔をつなぐといったコーディネーターの柔軟性やフットワークの軽さが、結果的に地域との連携になり、ネットワーク作りの基盤になります。はじめから大きなネットワークを作ろうとしてもなかなか難しいものです。一歩一歩着実に関係をつなげていくことが大切です。
 

4)保護者の相談窓口 


ここでコーディネーターに求められる役割は、まず保護者の相談の窓口となり、保護者の心配や学校への要望などをきちんと聴くことです。保護者の希望は様々なので、中には学校での対応が難しいこともあるでしょうが、最初から“できません”の姿勢ではなく、“まずは考えてみましょう”という姿勢で話を聴くことが大切です。また、保護者は子どものことを一番良く知っています。保護者と協力関係を結ぶことができれば、子どもの支援を考えるうえで心強いパートナーができたといえます。さらに、保護者の相談から学級担任や校内委員会につないでいくこともあります。保護者の相談の中にはこれからの支援や学校そのものを変えていくエッセンスが隠れているかもしれません。コーディネーターは保護者の相談窓口になることで、そうしたエッセンスを汲み上げる役も担っていることを心に留めておくことが大切です。

5)教育的な支援


 担任が行なう子どもへの支援の仕方や指導方法を検討したり、研修会を開催したりすることも役割の1つです。特別支援教育や支援の必要な子どもに関する知識、個別の指導計画・個別の教育支援計画の知識等を知っていると、担任からの相談内容に対し余裕を持って対応することができるので有用です。また、様々な知識を持っていることでコーディネーターとしての自信にもつながり活動しやすくなります。一方、校内研修など教育的な支援をコーディネーターがおこなう場合、全てを一人でおこなうのは大変なことです。そうした場合には、管理職や校内委員会の他、スクールカウンセラーや関係機関の職員に協力を依頼することも考えてみるとよいでしょう。



2.コンサルタントによるコーディネーターへの支援


 学級の中に特別な支援の必要な児童生徒は今までも在籍しており、そうした児童生徒にどのような支援が必要なのかはすでに考えられてきたはずです。ですが、「特別支援教育の推進」と大きくクローズアップされると、何か新しく複雑な仕事が増えたような印象を持たれがちです。確かに、コーディネーターにとっては新たな役割が与えらましたが、担任にとっては、コーディネーターの活躍でたくさんの教員の協力を得て、子どもの支援を考えるようになるため、結果的に子どものみならず担任を支えることにもつながるのです。こうした利点があることを多くの教員に理解・協力をしてもらえれば、コーディネーターにとっても活動しやすくなるはずです。ここでは、コーディネーターを支援するためにコンサルタントの介入場面について整理します。


1)管理職に協力を求める

  コーディネーターが管理職の場合もありますが、特別支援学級の担任、中には通常の学級担任という場合もあります。その場合、コーディネーターは管理職から特別支援教育推進と学校経営方針を聞くとともに、どのようなことをしようとしているのか(コーディネーターがどのような役割を求められているか、コーディネーターがどのようなことをしていきたいと考えているか)、どのような意見がでているか(他の教員からどのような立場でコーディネーターが見られているのか、どのようなことをすると協力が得られやすいか)、コーディネーターの活動を理解し、後押ししてもらえるか等、管理職と充分話しあっておくことが校内の活動のしやすさにつながります。また最大のメリットとして、管理職の理解が得られると、外部の機関との連携がスムーズになる可能性が高くなります。管理職が特別支援教育を積極的に推進している学校は、それだけで他の教員がコーディネーターを利用しやすくなります。学校の要にある管理職の理解と協力は不可欠といえます。そのため、管理職の理解が得られずコーディネーターが困っている場合、コンサルタントが支介入し、調整することがポイントの1つとなります。

2) 他の教員に理解を求める

  コーディネーターという役割は同じであっても、コーディネーターによって様々なタイプがあります。例えば、校内の理解・啓発に力が入るタイプ、他機関との連携に力が入るタイプ、子どもの支援方法に力が入るタイプなどです。コーディネーターが一人で全ての役割を取ろうとしてもそれは難しいものです。そのためには、他の教員に特別支援教育やコーディネーターの役割について理解を求めることが必要です。コーディネーターが努力しているにもかかわらず、他の教員からは“何をしているか分からないが、いつも席をはずしている”という目で見られてしまう可能性もあります。それでは、担任はコーディネーターを相談の窓口として利用しにくくなってしまい、結果的に子どもの支援につながらないということにもなりかねません。 特に中学校は教科担任制のため、生徒の全体像が捉え難い状態になります。コーディネーターが情報の窓口になることで教科担任からの情報を収集し、支援の方法を考えていく役割をとることも中学校では大切だと思われます。そのため、コンサルタントは教員の理解を得るためのノウハウをコーディネーターにアドバイスしつつ、コーディネーターと協力をしながら校内の理解を高めていくため支援をおこないます。



3.周囲の子どもや保護者の理解を求める


 コーディネーターにとって、管理職や他の教員に理解を求め協力をしてもらうことは大切なことですが、学級にいる多くの子どもたちにどのように理解をもとめていくかを考えることもとても大切なことです。例えばクラスの中に支援の必要な子どもがいた時、その子どもだけが別の課題をしていたり、特別に先生がついていたら周囲の子どもが「どうして?」と疑問に思うのは当然のことです。しかし、周囲の子どもにそうした疑問を持たせないようにとの思いから、配慮を必要としている子どもを全体の中の一人としてのみ指導を進めてしまうのでは本末転倒です。このような状況になった時、周囲の子どもたちに特別な支援の必要性を伝えるかが必要になります。また、子どもにとって家庭は学校と同じくらい大切な生活の場であり、保護者は大きな存在です。保護者が学級にいる特別な支援の必要な子どもについて理解があると、子どもたちも支援の必要な友だちへの受けとめ方が変わり、クラスの雰囲気を受け入れやすくなることにつながります。子どもにとって周囲にいる大人の存在は大きなものです。大人が正しく理解し、支援の必要性を感じることは、子どもに理解を求めるためには大切な一歩といえます。
 そこでコンサルタントは、どのように子どもや保護者に理解を求めていけばよいか困っている担任や担任を支援しているコーディネーターに一般的な障害の知識だけでなく、いつも一緒に過ごしている仲間がどのような環境の中で生活し、学習場面で、生活場面で、友達関係でどのように大変さを感じているかを具体的に伝えるための方法を一緒に考えていきます。その際、子どもの年齢による理解度や学級の状態を考慮することも忘れないようにしないといけません。
  管理職や教員だけでなく、一人でも多くの子どもや保護者に理解を得るための方法をコーディネーターと共に考えることは、コンサルタントにとって大きな役割の一つとなるでしょう。