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コンサルテーションの進め方

学校コンサルテーションは、教師(コンサルティ)がかかわる子ども(クライエント)を理解して適切に対応するために、また、ある場合は校内支援等を実施するために、コンサルタントが側面からコンサルティを支援する活動をいいます。   


 このコンサルテーションは、どこに所属する、どのような立場のコンサルタントが実施するかによって、また、コンサルテーションの依頼者や依頼機関(コンサルティ)、コンサルテーションの対象となる子ども(クライエント)、コンサルテーションのニーズがどこにあるかによって、異なる対応が予想されます。そうした場合、コンサルテーションの進め方もそれぞれの場合によって異なってきます。


 一般的に、コンサルテーションの進め方は、次に示す3つの段階に分けることができます。 「アセスメントの段階」→「対応の段階」→「評価の段階」 学校コンサルテーションでは、コンサルティである教師から、まず何らかの主訴が出されます。主訴の受付から、問題解決を支援するための仮設の生成にいたる一連の手続きが、「アセスメントの段階」です。 


 「アセスメントの段階」では、教師(コンサルティ)の主訴を大切にして出発点としますが、主訴そのものが必ずしも子ども(クライエント)のよりよい発達や、よりスムーズな教育を実現することにつながるニーズであるとはいえないこともあります。主訴を含め、主訴の背後にどのような問題とニーズが絡んでいるか、子ども(クライエント)と教育の問題全体を分析的に把握して、その解決を支援するための材料を得ることが「アセスメントの段階」の目的です。 


 ここでは一つの例として、教師(コンサルティ)が自分の学級に在籍する子ども(クライエント)を理解して、その子の課題解決に適切な対応ができるように、コンサルタントが側面から支援するコンサルテーションの流れを示します。「アセスメントの段階」は、実際の具体的な動きにあわせて、下記の(2)~(6)に分けて示します。 



1.コンサルテーションの申込み



・申し込まれたコンサルテーションについて、実施の諾否を決めます。
受ける場合は、担当するコンサルタントを決めます。 
受けられない場合は、他機関を紹介することになります。 



2.コンサルテーションの目的の明確化



・申し込まれたコンサルテーションについて、教師(コンサルティ)の主訴から、何についての解決を図ろうとしているのかなど、教師(コンサルティ)の問題意識を、教師(コンサルティ)とコンサルタントの間で明確にするプロセスです。   

  実際に出会ったり、電話あるいはメールを用いたりした聞き取りや、資料を通して行われます。

・教師(コンサルティ)から語られなくても、その背後に対応していくことが必要な問題が隠されている場合などがあります。そういう点も見逃さないようにすることも重要です。


・教師(コンサルティ)への支援の場合の例としては、 a)教育実践への支援(例えば、学校での不適応行動の理解と対応、授業の中での個別支援、授業構造の再構成など)、 b)教師間の組織化への支援、 c)教師と保護者の協働への支援、 d)教師と専門機関との連携への支援、 e)行政への要求への支援(例えば、介助員などの人的配置、施設の改善など)、 f) 教師の力量形成への支援、 g) 教師の心理的安定への支援、などが考えられます。 



3.情報の収集


・明確になったコンサルテーションの目的にそって、コンサルテーションをすすめていく上で必要な情報を収集します。子どもの発達の状況と障害の状態、学校や子どもをとりまく環境などについての情報を収集します。   


・子どもに関する情報としては、運動、認知、言語・コミュニケーション、他者(大人や子ども)とのかかわりや社会性、自我や人格の発達の水準と特徴、障害の状況、遊びや生活面での育ち、行動面の特徴などについて、必要な情報を収集します。


・学校に関する情報としては、学校規模、校内の支援体制、管理職の学校運営方針、学校の雰囲気、職員集団の雰囲気、教室や学校の物理的環境、コンサルティである教師については、特別支援教育を含む経験年数などの情報も把握しておくことも必要です。良好なコンサルテーションを行うためにも、教師の教育観などについても敏感であることがコンサルタントに求められる専門性です。 


・子どもと学校をとりまく環境に関する情報としては、家庭環境、相談機関・療育機関・医療機関の情報、地域にある各種の教育資源、学区(地域)の特色などを把握します。 


・こうした情報の収集は、相談に際して記述された書類、教育相談の記録、保護者との連絡帳、子ども(クライエント)の絵や工作物などの作品やノートなどの資料、教師からの聞き取り、学校を訪問しての授業参観による観察、検査、ケース会議などを通して収集されます。
  したがって、後に述べるコンサルテーションのための学校訪問当日の授業参観が資料収集の場になることや、子どもを理解するためにアセスメントが必要と判断されて、新たに検査が行われることもあります。 




4.問題の見立て(コンサルテーション事例の理解)



・コンサルテーションの目的にそって収集された情報を分析して、分析結果を総合し、相互関係を整理して、問題全体の整理と解釈を行います。そして、整理されたことがらと教師(コンサルティ)の問題意識(主訴)との関係を把握します。 


・ここで対応につながるニーズが見えてきます。見えてきたいくつかのニーズから対応のための仮説を立てます。どこから着手することが、実効性が高く有効な対応につながるかを考えます。 



5.これまでのかかわりの検討



・問題の見立て(コンサルテーション事例の理解)を基に、これまで行われてきた教師(コンサルティ)から子ども(クライエント)へのことばかけや個別支援の体制や方法など、学級全体への指導の状況、学級の環境整備などについて、すでに収集した情報を基に、分析・検討していきます。 



6.新たなかかわりの計画



・問題の見立て(コンサルテーション事例の理解)や、これまでのかかわりの検討を踏まえて、コンサルタントとして、教師(コンサルティ)に新たに提案できるかかわりについて整理し、コンサルテーションをどのように組み立てるかを考えます。   


・コンサルテーションの組み立ては、コンサルテーションの目的によって異なりますが、授業参観、教師(コンサルティ)との対応についての話し合いや情報共有のための話し合い、担任教師を含む関係者とのケース会議、障害理解の講義、校内委員会への参加、管理職との話し合い、情報提供などが考えられます。 


・コンサルテーションの組み立てが構想できたら、事前に教師(コンサルティ)と連絡をとり、コンサルテーションのスケジュールを提示することが必要です。 




7.対応



・コンサルタントが構想した計画に基づいて学校訪問を行います。学校訪問の際に授業を参観する場合は、子ども(クライエント)の抱える問題を把握しやすい授業を参観するといいでしょう。 ・学校訪問の回数や時間帯は、コンサルテーションの目的や、進み方によって異なります。   


・コンサルテーションの目的によっては、コンサルタントがコンサルティである教師の所属する学校を訪問すること以外にも、コンサルタントの所属機関にコンサルティである教師を招いて、話し合いがされることもあります。 



8.コンサルテーションの評価



・一定の期間、対応した後に、「アセスメントの段階」は適切だったか、対応は妥当で有効であったかということについて分析し、教師(コンサルティ)をどのように支援できたか、あるいはできなかったかを評価します。   


・定期的なコンサルテーションであれば、このような評価を積み重ねることによって、より有効なコンサルテーションを行うことが可能になります。 ・また一回だけのコンサルテーションであれば、十分な評価を行うことは困難ですが、その後の状況を聞き取ることなどを通して、意識的に評価を行いながらコンサルタントとしての資質を高めることに努力しましょう。


 以上が、一般的なコンサルテーションの流れです。 
 コンサルテーションのプロセスに伴う「コンサルタントの配慮事項」、また「コンサルテーションの評価」についは、別項を参照して下さい。