教育相談を実施する上で、学校における教育相談担当者は学校組織の一員としての自覚が求められます。
それは、訪れてくる子どもや彼らを育てる保護者個々人の心に寄り添っていくということは当然のことですが、そのことが学校での生活の流れや仲間や担任の先生との関わりがうまくできないことでは課題解決に繋がらないことも起こります。学校における教育相談は、個々人の心に寄り添う機能だけでなく、学校の流れに添わせる機能についても考慮する必要があるのです。
個々人の心に寄り添う機能は教育相談担当者個人が一人でできる支援であるかもしれません。しかし学校の流れに添わせる機能は、一人の教師でできる支援ではありません。学校全体や学年教師集団で、こうした特別な教育的ニーズを必要とする子どもやその保護者を支援することが大切で、そのためには学校システムの構築が必要となります。学校における教育相談は担当者と来談者という個人的関係だけにとどまらず、システムとしての対応が必要となるのです。
この意味からも、子どもを中心に据えつつも、保護者と教師(学校)がともに悩みながら、新しい人間関係を築きあげていくことと、それを支えるシステムによって、子どもも保護者も教師も支援を受けられることが、これからの教育相談活動の大切な要素でもあるといえましょう。