従来、教育相談といえばカウンセリングといわれるほど強いイメ ージが定着していました。心の病に対峠する技法の一つとしてカウンセリングが実施されていました。それ故、カウンセリングに関する知識を学ぶことの大切さはいうまでもありません。こうした高度な専門性に裏打ちされたカウンセリングを『治すカウンセリング』と称するなら、特別支援教育における教育相談は、生きる力を「育てるカウンセリング」がより求められるのではないでしょうか。
親や教師から常に「じっとしていなさい」「それしちゃだめだよ」「早くしなさい」「何回やっても覚えないね」と叱責されている障害のある子どもや特別な教育的ニーズを必要とする子どもたちは、「僕はだめな子なんだ」「お母さんや先生の期待に応えられない」と思い詰め、セルフエスティームをどんどん下げていきます。保護者は保護者で、我が子の行動の問題は、家庭の「しつけの悪さ」に起因すると周囲から指摘されたり、批判されたり、また、我が子への期待がかなえられないで落胆したり、子どもの行動を自分の力でどうにも制御できない焦りを掩いたりして、セルフエスティームをどんどん下げていきます。
こうした状態から脱却し、生き生きした楽しい生活への支援をすることが教育相談活動なのです。新たな人生設計作成への支援を通して、生き方を考えること(キャリア・ガイダンスという)はセルフエスティームを高めていく上でも、育てるカウンセリングの意味からも大切な方法と考えています。