教育相談の三つ目の意義は、子どもの環境を調整し、育ちに即した支援活動を行うことにあります。子どもは外界の刺激を、自らの内界に取り込んで発達していきます。そのために、応答的環境、子どもが何らかの発信をすれば、それに即応する環境を整備することが大切です。保護者や教師の子どもの関わりかたも、応答的であることが望ましいし、その意味で保護者や教師もまた子どもにとっての環境の一つであると考えられます。子どもにとって温かく、わかりやすい環境をつくることは、保護者にとっても子育てへの不安を減らし、子どもと関わりやすくなることに繋がっていきます。 また、保護者の不安や悩みは、子どもの育ちに応じて変化していきます。それ故、育ちに即した支援活動が求められます。このことが、「生涯にわたる視点で支援する」ということでしょう。
相談活動が一皮きりの相談(点の相談)でなく、育ちに応じて変化する不安に対して繰り返し行われる相談(線の相談)となり、そしてそれが様々な分野・領域からの支援が同じ場で受けられる相談 (面の相談)となっていくのが、教育相談の理想像かもしれません。しかし、受け手の側にもキャパシティがあります。自らのキャパシティを越えた相談活動は結果的に保護者の不安の解決に繋がらなかったり、保護者にとって満足の得られない支援になってしまいます。 そこで連携が必要となります。教育相談担当者は情報と技術を共有しうる連携先(人脈・ネットワーク)を作りつづける努力が求められます。