弱視の児童生徒にとって黒板の文字や駅の時刻表など、遠くのものを見る視覚補助具として単眼鏡は欠かせない道具の一つです。
視覚の発達が8歳から9歳頃までに完成することや、使用技術を身につけるためには一定の期間が必要であることを考えれば、可能であれば小学校就学前に単眼鏡による文字等の認知の指導を始めることが望ましいと言えます。使用を開始する時期が早ければ早いほど、それだけ晴眼の子どもとの情報格差が小さくなるということも早期使用のメリットとなります。
単眼鏡の使用にあたっては、ただ単に子どもに与えておけば良いというものではありません。単眼鏡を使って素早く正確に見ることができるようになるには、それ相応の技術と使用期間が必要となるからです。
また、子どもの視力や発達段階等に応じて、単眼鏡の倍率や大きさを決めていかなければならないことから、単眼鏡のフィッティングを行う際には、弱視教育について専門的な理解のある機関等で適切に行ってもらうことが不可欠です。少々大げさな言い方になりますが、子どもが単眼鏡を使いこなすことができるか否かは、適切なフィッティングがされているかどうかにかかっているとも言えるのです。
単眼鏡のフィッティングを行ってくれる機関としては、次の3つが考えられます。
① (ロービジョンコーナーを設置しているような比較的大きな)眼鏡店
② ロービジョン外来を開設している大学附属病院等の眼科
③ 視覚障害者を教育する特別支援学校(盲学校)
実際に単眼鏡をフィッティングする場合は、使用する児童生徒の見え方や発達段階等に応じて倍率や大きさの異なる何種類かの機種を一定の期間、試しに使ってみることが必要となります。それは、最初に手にとってものが自分に適していると感じたとしても、時間が経つにつれ使い勝手の印象が異なってくるということが往々にして起こりうるからです。また、初めて単眼鏡を使用する場合は直ぐに上手に使える訳ではありませんから、一定の期間を費やして指導を受けることも必要です。
したがって、これらのことを考え合わせると、盲学校やロービジョンコーナーのある眼鏡店が適しているかもしれません。盲学校の場合であれば教育相談という形で使用訓練を受けることも可能です。また、弱視通級指導教室等においても同様の指導を受けることが可能です。
いずれにしても、単眼鏡は安価なものではありませんから、ある程度の時間をかけて機種を選定し、必ず使用に関する指導を受けるようにしてください。
なお、眼科を受診して行う場合を除いて、単眼鏡のフィッティングには特別の料金はかかりません。