言葉の遅れの相談は、地域によって機関名は異なるかも知れませんが、まずは、保健センター(福祉健康センター)や児童相談センター(児童相談所)等へご相談ください。保健師や言語聴覚士等が相談に応じています。
言語聴覚士(ST)のいる病院や療育機関 また、地域によっては「幼児ことばの教室」や小学校に設置されている「ことばの教室」が指導してくれることもあります。
ことばの遅れの原因にはさまざまなものがあります。知的障害、聴覚障害(難聴)、広汎性発達障害、脳性麻痺などの中枢神経系の障害、養育環境の不適切さなどが原因として考えられます。
発音の不明瞭さの原因が何かによって予後は変わると考えられています。その原因は大きく二通りに別けられています。
一つは器質的構音障害です。
これは、構音に関わる様々な器官における生理的あるいは形態的な欠陥や異常が理由で生じる構音障害です。例えば、口唇口蓋裂のために鼻咽腔閉鎖機能が悪く息が鼻から漏れるために発音が歪むようなことがあります。また、麻痺性構音障害のように下や口唇などの構音器官に運動麻痺があり、そのため正しい構音操作ができにくくなっていることもあります。発音の不明瞭さの原因となっている障害の重軽によって予後が必ずしもいいとはいえないこともあります。しかし、今より発語しやすい方法やコミュニケーションの取り方は改善されていくと考えられています。医学との連携を行いつつ指導を受けることが望ましいと思います。
二つ目が機能的構音障害です。
これは器質的な原因が見出せない構音障害を言います。誤った音の学習、二カ国語習得による混乱などが原因と考えられています。この機能的構音障害は、比較的予後がいいと言われています。ただ。器質的な原因がないといっても現時点で見いだすことができないだけかも知れませんので、専門家によるアドバイスをお受けになることを勧めます。
指導の方法は専門的なことがあるので、近くの「幼児ことばの教室」や通級指導教室の「ことばの教室」へ行かれることをお勧めします。指導を受ける場はこれ以外にも教育センター、病院における言語外来、リハビリセンターなどがあります。ことばの教室は教師が指導に当たりますが、それ以外はスピーチセラピストがあたります。
家庭や担任の先生は、子どもの話し方や発音にばかり注意を向けて言い直しをさせるのではなく、何を伝えたいのかに留意して、子どもとやりとりをしてください。
食べ方(咀嚼)にも一定の発達の順序があります。この事は単に食べる事だけでなく、顔の表情や言葉の発達とも深い関係があります。食べ方の発達は、口唇を閉してごくんと飲み込む(唇食べ)→舌を上下に動かして舌でつぶして食べる(舌食べ)→舌を上下に動かして歯ぐきでつぷして食べる(歯ぐき食べ)→乳臼歯で噛んで食べる(乳歯食べ)となって順々に発達していくのです。
食べることは、口とその周辺の多くの器官や呼吸器官などの協調、統合を必要とする複雑な運動です。そして、正しい音を発音するにもこれらの器官がうまく働く必要があるのです。
家族がよく話しかけ、しっかりとコミュニケーションを取ることが重要です。目に映る具体物の名称を正しく伝えることや手遊び歌を一緒に楽しむことなどを行ってください。
一方的に教え込むのではなく、会話をすることが楽しいと経験できるように心がけてください。
子どもが理解できるように、ゆっくりとはっきりした言葉で話しかけることが重要です。特に、これから行動すること(たとえば食事をする、散歩に出かける)を言葉で伝えて(たとえば、ご飯を食べようね、お出かけしようねのように)から、行動に移してください。写真や絵カードの提示も良い方法です。カード等の提示にも必ず言葉を添えましょう。
言葉の発達の目安としては、次のようになります。★2~3ヶ月ごろ 「アー」「ウー」なといったクーイング(喃語=なんご)から始まります。★5~6ヶ月ごろ 喃語が増えてきて、声を出すことでうれしい、気に入らないなどの簡単な意思表示ができるようになります。★10ヶ月ごろ 大人が「ちょうだい」と手を出すとおもちゃを渡せるなど、簡単なことなら大人の言うことがわかり始めます。★1才ごろ 伝えたい気持ちが大きく育ち、自分が知っているものを「アッ」と盛んに指さしをするようになり、初めて「ワンワン」「マンマ」など意味のある言葉が出ます。その後、話す単語はどんどん増えます。★1才6ヶ月を過ぎたころ 「パパ」「来た」などの、単語を5個以上話し始めます。これからは急激に語彙が増えます。★2才6ヶ月ごろ 「パパ、会社に行った」など名詞と動詞を組み合わせ、3~4語で文章を構成して話すようになります。★3才ごろ 「だから、○○ちゃんはね、お菓子が食べたいの」など、間投詞や接続詞を使って文を構成して話すようになってきます。間違いはあるものの、日常生活に支障はない文法や言葉がほぼ習得されます。3~4才くらいまでが言葉の獲得のピークとなります。
お子さんの状態によって、就学先は様々です。まずは、地元の教育委員会に相談してください。お子さんの状態と地元の学校の様子について教えてくれますし、就学先について、一緒に考えてくれると思います。一般的には、通常学級の中で配慮を受けながら指導を受ける場合、通常学級に在籍しながら部分的に通級指導教室で指導を受ける場合、特別支援学級に在籍して指導を受ける場合、特別支援学校に在籍して指導を受ける場合などが考えられます。
特定の語音を多少なりとも習慣的に誤って発音する状態を「構音障害」と呼んでいます。まず、特定の語音を作り出す運動がうまくできない原因が何か。どのような誤り方になっているのか。どのようなことばの時に誤るのか等を調べる必要があります。その上で、一般的な方法ですが、以下のような順序で指導をしていきます。
しかし、発音練習といってもその状態像が様々で、家庭でやってうまくいかないこともあります。お住まいの近くに「幼児ことばの教室」や小学校の中に「きこえとことばの教室」といった通級指導教室がありますので、こうしたところで相談されることをお勧めします。
どもる状態を「吃音」と呼んでいます。吃音になる原因はよく分かっていません。
3~4歳頃や小学校に入学する頃に吃音に気付くことが多いことや、こうした子どもの7~8割は成人になる頃には良くなっていることが統計学的には分かってきています。しかし、どのような子どもが良くなる7~8割となり、どのような子どもが吃音を残す2~3割なのかが科学的にはよく分からないのです。
そのため、成人になっても吃音が残ったとしても自分の人生を楽しく有意義に過ごすことが出来るように幼いときから指導を行うことが考えられます。たとえば多少どもったとしても最後まで話したかったことを話すようにすること、どもるからといって自分を卑下したり、やるべきことを吃音のせいにしてやらなかったりすることがないようにすること、家に閉じこもって友達と関わらなくならないようにすることなど、様々な指導が試みられています。自分の好きなことや得意なことを育てることも大切です。
こうしたことも、近くの「幼児ことばの教室」や小学校の「きこえとことばの教室」でご相談ください。