アスペルガー症候群の子どもたちは、自閉症と似た特徴を持っていますが、知能や言葉の発達が良好です。難しいことばを発して、何でも分かっているように受け止められがちですが、実は身の回りの簡単な事柄が分かっていないことがあったりします。アスペルガー症候群の子どもたちは「想像して」「相手の立場になって」「人の気持ちを考えて」ということが苦手です。このようなことから、幼稚園や学校の集団生活の中では「変わった子」「自分勝手」と受け止められたり、トラブルを起こしたりすることが多々あります。
したがって、幼稚園や学校に通っているお子さんの家庭では、学校との連絡を密にとっておくことが大切です。お子さんの特徴や得意・苦手なことなどを担任に伝えて、クラスの中での配慮をお願いしましょう。適切な対応がなされないと、暴力や暴言、あるいは、不登校のような状況になりかねません。
家庭生活では、次のようなことに配慮しましょう。これは、一般的な事柄ですので、学校生活での配慮でも同様です。
・いつもとは異なる生活スタイルになるとき(レストランで食事をする、旅行に行く等)には、その予定をあらかじめ、わかりやすい方法で伝えておきましょう。特に、いつ見ても分かるような写真・絵カード・文字などを使用して伝えることが大切です。
・暗黙の了解の理解が難しい特徴がありますので、話すときには(家庭内のルールの確認や問いかけ)、曖昧な言い方や言い回しは避けて、具体的に伝えましょう。
・話しかける際には、必要最低限の声の大きさで、穏やかに話しかけましょう。話しかける内容ではなく、話し方のトーンや大きさにとらわれ、話の内容が理解できない場合があります。
・苦手なことより、得意なことを認めて自信をつけさせることが大切です。冒頭にも書きましたが、いろいろなことがよく分かっているように受け止められがちですが、本当は十分ではないことが良くあります。「どうしてできないの」と言われても自分でも分からず、
自己肯定感を下げてしまうことになりかねません。上記3点の配慮をしつつ、本人の自己肯定感を下げないような配慮が必要です。
以上、4点あげましたが、四六時中これら全て行うことは難しいかもしれません。
兄弟姉妹がいればなおさらです。ご家庭の状況に合わせて、できることを心がけていきましょう。