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コンサルタントの配慮事項

 コンサルテーションは、どのような立場の人が依頼したかによって、コンサルテーションの進め方やコンサルタントの配慮する点が異なります。

 本人や保護者が依頼の主体となって、学校でのコンサルテーションを希望している場合は、コンサルタントは保護者や子どもを支援する一員として、子どもの実態把握に関する情報をもちながら、保護者の要請に応じて教師等に会うという流れになります。


  一方、学校がコンサルテーションを希望している場合には、コンサルタントは担任等からの間接的な情報を手がかりとして子どもを理解し、相談活動を進めていくことになります。場合によっては、学級場面を観察する場合もありますが、対象となる子ども(保護者)の了解を得る等の配慮が必要になります。このように依頼主が誰であるかにより手続きと配慮点が異なります。これらを整理したものを表1に示しました。




1.保護者・本人から依頼のあったコンサルテーションの場合


 学校コンサルテーションのコンサルティは、学校職員、主に教師になります。しかし、当事者となる教師にコンサルテーションのニーズがない場合があります。保護者が感じるほど教師がその子のことを問題と感じていない場合や、保護者が「担任が問題」「担任を何とかしてほしい」と考えている場合などです。


 保護者が希望しているので、お子さんの学級での様子を見させていただきたいのですが…」と話しても、学校なりに頑張っているのに保護者が教育委員会に訴えたのではないかと危惧したり、学級の不適切な部分を探りにくるのではないかと警戒したりする場合もあります。特に、コンサルタントが、教員の研修を実施する教育センターの指導主事の場合、学校や教師は「指導されるのでは」という構えになりがちです。対等な関係でコンサルテーションを進めるためには、先生を責めに来たのではなく、指導的な立場でないことを明言して、「通常の学級のことはよく分からないので教えてほしい」「こちらに相談に来ているお子さんについて、集団の場で指導するのは大変と思われる。学校で既に行なっている支援について教えて欲しい」などと話し、学校や教師が余分な不安や抵抗を感じなくて済むような配慮をすることが必要です。


 教師のおかれている立場を理解し、これまでの苦労をねぎらい、既に配慮していることを見つけ、コンサルタントの専門性から意味付けを行うことなどがポイントになります


2.学校から依頼のあったコンサルテーションの場合


 学校がコンサルテーションを依頼してきた場合は、学校側の誰が、どんな内容のニーズをもっているのか、学校内でのニーズの所在を知っておくことが必要です。コンサルテーションの申し込み者が管理職などで、コンサルティとなる担任がそれほど困っていない場合もあります。そこで、申し込みを受けた時点で、コンサルティの感じている問題のどこをサポートするのか明確にしておくことが重要になります。さらに、学校を訪問し、授業を観察する場合には、保護者や学級にどのような説明をするかについても十分な配慮が必要になります。


3.学校を訪問する際の一般的配慮



1.学校訪問をするまでの準備

(1)対象となる子どもの保護者の了解があるかどうかを確認します。
 了解がない場合は、可能であれば訪問までに、学校から保護者の了解を取るように依頼します。了解がとれない場合は特定の個人に注目しすぎないように気を付けます。また、訪問後には、必要に応じて、学校側は保護者にきちんと説明する責任があることも理解してもらいます。


(2)学校及び学区の様々な情報を集めておきます

 学区(地域)の状況、学校規模、校内の支援体制、管理職の学校運営方針等について、収集できる範囲内で情報を集めておきます。学校訪問の際の交通の便や行程なども調べておきます。周囲にその学校にかかわった人がいれば、校内の雰囲気などを聞いておくことも参考になります


2.学校訪問当日のコンサルタントの動き

(1)身だしなみを整え、名刺を準備します。

(2)訪問時間や終了時間など、約束の時間を守ります

(3)学校長には、確認を含めて学校訪問の趣旨を伝えます

(4)対象児の保護者の了解があるかを再確認します
 保護者の了解がない場合は、学級全体を見るようにします。特定の児童生徒に注目しすぎることは避けましょう。


(5)授業参観は、授業ではなく子どもを見ます。

 学級内での、具体的な対応を考えるためには、教室の後ろからだけではなく、側面からも子どもの様子を見ます。 子どもの作品や掲示物は子どもの実態を把握するための資料にもなります。


(6)ケース会議は、全体の流れを見通すことができ、主体的に参加しやすい工夫が必要です。

 参加者からの発言を引き出すよう心がけ、できるだけ質疑応答の形で進行します。 子どもの立場や視点で問題を表現するようにし、当面の子どもの困っていることに対する支援の方策を話し合うことにしましょう。


(7)判定、判断につながるような発言は誤解を受ける恐れがありますので注意する必要があります。
 LD、ADHD、高機能自閉症、アスペルガー障害等を判定して欲しいと思っている担当者や保護者の対応には、最大限の注意が必要です。診断は医師が行うものであり、教員(特別支援教育コーディネーター)が簡単に判断できることではないことを常に意識しておくことが大切です。


(8)特定の人の批判にならないように心がけます。

 教育委員会、学校、管理職、担任、○○先生、子どもの保護者等、特定の人への批判はネガティブな感情を生むだけです。


(9)支援の方策は、参加者が主体的に考えるように進めていきます

  見立てをもとに「どの時間帯に・誰が・どのような支援をするか」を表2のように具体的に決めていきます。例えば、支援を必要とする児童が学級に複数いる場合は、学級全体への指導と個別指導について、時間帯別に可能な職員が支援を行う体制をとるようにします。授業中の時間帯に支援が必要な場合には、算数の時間はTT(チームティーチング)にするとか、音楽の時間は担任がクラスに入る等、具体的な支援計画を作成するよう方向付けます。
学区(地域)の状況、学校規模、校内の支援体制、管理職の学校運営方針等について、収集できる範囲内で情報を集めておきます。学校訪問の際の交通の便や行程なども調べておきます。周囲にその学校にかかわった人がいれば、校内の雰囲気などを聞いておくことも参考になります。


(10)子どもの支援方策については、全校職員にも伝えるように働きかけます。
  直接的な支援に関わらなくても、全職員が対象児童のことを共通理解しておいた方が良いことは職員会議で報告したり、文書として配布したりすることを勧めます。このような情報を伝えていくことで、学校内の雰囲気や意識が変わってきます。


(11)対象児以外の気になった子どもについても話題にします。

  学級にいる子どもの課題の理解が促されます。担任をはじめ学校職員の子どもを見る目が培われます。


(12)ケース会議の終了後は、担当者とケース会議を振り返っておきます。


(13)時間に限りがあることを意識します。

  話し合いの時間はしっかり枠を決めて行いましょう。校務以外の個人的な時間は使いません。継続相談が必要であれば、「1か月後」など次の時期を伝えましょう。


(14)「自分で何とかする」という頑張りすぎは禁物です。

  一人で抱え込まないで、他の人に相談し、支援を求めながら進めます。分からないことがあれば、聞くことのできる資源(専門家や施設等)を活用します。


(15)記録を残しておきます。
 
いつ、どこで、誰と、どのような内容で話し合ったかを記録しておくことは、大切です。